シャンプーと石鹸を泡立てて、お互いに身体を洗いながら愛撫する。執拗に股の中まで指を突っ込もうとするギルガメッシュに「やりすぎ」と注意するも、「濡れているかどうか確認しているのだ」とよくわからないことを言って聞かない。なので私も彼のものを擦り上げるように洗い上げる。……多分、彼も気持ちよくなっている。先程は少し萎え気味だったそれが、再び元気に育っているから。
「かゆいところはございませんかー」
椅子に座ったギルガメッシュに美容師さんみたいに声を掛けてみる。「王の玉体に不完全な場所などない」と即座に返事がきたので、はいはいと頷いて私の好きなように指圧した。
お互いに身体から泡を洗い流した後、今度は浴槽にお湯を溜める。先に溜めておけばよかったのだろうが過ぎたことは仕方がない。バスタブの縁に腰をかけて足湯のようにしていると、「白野」と彼から声がかかる。
「挿れるぞ」
そうして後ろを向け、と指をさされる。……だけど、彼の先程の言葉が気になって仕様がない。
「で、でも……この身体だと、その」
「ああ、先に人形師に確認しておいたが。この身体に子を成す機能はないぞ」
「は?」
「所詮仮初めの器だ。無論あの女の技量ではそれも再現可能であろうがな」
じゃ、じゃあさっきのは嘘──というか、私を試す為の方便だったのか。何というか、怒り以上に脱力が勝る。本気で悩んだ私、ただの道化じゃないか。
「ギルひどーい……」
「はははは、許せ。それもこれも発端は貴様が意固地になるからよ」
「あーもう、わかった。私が悪かったってば」
彼の言葉を適当に流して、お尻を彼の方へと突き出す。ムードもへったくれもないが、私達らしいと言えばらしい。……それに、ついさっきまで丹念に解されていた私の股は熟れたままだった。彼の芯も挿入するに十分な様子だ。
ギルガメッシュの手が腰を掴んだと思うと、つぷりと音を立てて再び芯が私の穴の中へ呑み込まれていく。一度貫通したとはいえ、まだきつい中をゆっくりと彼のものが進んでいくのを深呼吸しながら受け容れていると、彼の手が腰から腹へ、胸へと伸びる。両の乳首をこりこりと弄られて、思わず高い声で鳴いた。別に普段は乳首なんて意識しないのに、こうして彼に触られた時は敏感になってしまうのが不思議だ。
奥まで全て入ったと思うと、徐にピストンが始まる。こうなるともう声が止められない。「ん、んっ」と彼の動きに合わせるように出る嬌声を彼が笑う。……そうは言ったって出るものは出てしまうのだ、仕方がない。蛇口から沸く湯と私のどちらからも湯気が立ち上っているような幻覚が見える。
「あ、ギル、すぐいっちゃうかもぉ……!」
「許す。貴様はここが弱かったな?」
そうして再び浅いところを探られて、彼の茎を押し流すように私の中がきゅうきゅうと締まる。深呼吸して達した余韻に浸ろうとするも、彼のピストンが段々激しくなるのを感じて息をつく暇もない。
「ギル……っ、いきそ? ふぁ、あ、っ」
「ああ……、そろそろ出すぞっ」
私の中で彼がどんどん大きく硬くなっていくからそう訊ねると、より一層激しく奥を攻め立てられる。奥で達すると気持ちよすぎて比喩表現ではなく息ができなくなってしまうのだけれど、目の前の快楽には抗えない。そのまま「いく……!」と首を振ると本当に達してしまった。それに続いて中にあたたかくて粘っこい水がびゅうっと広がっていく。そのまま彼が四つん這い状態の私を抱き込んで、やっといい加減蛇口を止めないといけない程浴槽にお湯が溜まっているのがわかった。
「はあ……っは、ギル、蛇口止めて……」
「ん? ……そうさな」
力が出なくて彼に頼むと、きゅっと金属の擦れる音と共にお湯が止まった。そして彼は私の中から柔くなった芯を抜く。見えはしないけれど、穴からつうっと入りきらなかった彼の汁が垂れていくのを感じた。……お湯が汚れるなあ、と思って徐に浴槽から出る。
「ははは、洗ったばかりだというのに貴様汗だくだぞ」
「ギルだってそーじゃん」
「流すか」
とりあえず、色々な体液でべとべとになった身体をシャワーで洗い流して私達は再び浴槽に浸かる。二人で潜るとお湯が溢れてしまったのは行為に夢中になり過ぎてしまった証拠だ。もったいないことをした、と少し反省する。
「はあ、気持ちよかった……」
言いながら彼に背中からもたれかかると、ギルガメッシュは無言で私の身体を全体的に撫でる。……何も言ってこない彼だけれど、多分ちゃんと気持ちよかった、はずだ。こうして黙って私を手遊びに触る彼はおおかた機嫌がよい。
「明日が非番でよかったな。腰抜けになっているやも知れぬぞ」
「それはやだなあ……」
他愛もない会話を続けながら、私は身体を撫でているギルガメッシュの手を邪魔して私の指と絡めようとしてみる。彼はそれを振り払わないまま私と手を重ね合わせた。そのまま握って開いてを繰り返しつつ、私は先程彼に言われたことを再び思い出す。
(貴様は女でしかない)
(だが、女である以前に──)
あの後、彼は何を続けようとしていたんだろう。女である以前に──子ども? いや、確かにそうなのだけれど。私はどうしようもなく子どもだ。単純に自我が目覚めてから間もないという意味でもそう。彼のように人類最古の物語の王からしてみたって、生を歩み始めたばかりの私はまだまだひよっこだろう。それは至極当然のことだ。だからそれでいい。
私達は王様と子ども。だけど対等であることに変わりはない。私達が出会ったのが運命であろうとなかろうと、今ここにある縁のかたちが変わることはない。だって私とあなたはマスターとサーヴァントなのだから。
「次に行く星はどんなところなんだろう」
「さてな。願わくば二つ前の都市のような開放的な場所であればよいが」
「少なくとも、もうちょっと日の射すとこがいいな」
「いずれにせよ降り立ったその足で賭場に行くのは決まっているぞ。魔術結晶の大塊はあの折に使い果たしてしまった故な」
「ああ、そっか……でもあそこまで目立つのはやめてね……」
一応念は押しておくが、彼の黄金律は最早呪いめいたスキルなのでこう言ったところで意味はないのかも知れない。……それに、彼に振り回される旅にもそろそろ慣れてきた。その度に消費するエネルギーは計り知れないけれど──悪くはない。素直にそう思える。だって、私は彼のことがすきで、彼と一緒にいるのが愉しくて。そんな単純な思いでここまでやって来られたのだから。
目を瞑って、瞼の裏で夢を見る。彼とのこれからの旅路を。きっとそれは彼の魂の輝きに照らされているが故に、私の手に負えないほど大変な道程なのだろう。……それでも。彼がいるなら、きっと前へ歩いていける。あのソラの中から、星屑一粒の私を掬い取ってくれたギルガメッシュが傍にいてくれるならば。
「白野? ……寝るのはやめよ、我との風呂だぞ」
「ん……ちょっとだけ……」
夢を見させてよ。語尾は泡の中に溶けて、私の意識は微睡の中に誘われていく。
あたたかな湯舟と、あたたかな彼の身体に抱かれて私はひとつ、欠伸をした。
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