そう言ったギルガメッシュの目が据わっているのを見て、私も身が堅くなる。「いいよ」──と呟く暇も与えられず、彼に口が塞がれた。一瞬だけ呼吸の間合いが掴めなくて、肩が震える。
キアラにコードキャストの受け渡しの際にされたのがたぶん、初めてのキスだったから、勿論男のひととキスなんてしたことがない。キアラの唇は女性らしい蕩けるような蜜の感触だったが、彼の唇も存外に柔くて熱い。妙な多幸感。舌が入ってきて少し唇と唇の間に余裕が出来て、その間に喘ぎ息を継ぐ。反射的に目を瞑ってしまっていたが、恐る恐る目を開くと彼の瞳もまた少し細まって、最も近い距離で私を射抜いていた。
「よもや他の者のことを考えてはいまいな」
「えっ!?」
何でこういう時だけ──いや、いつもだけどいつにもまして勘が鋭いのだろうか。彼の的確な言葉に我に返る。
「いや、えっと、キアラさんと比べてもギルの唇も結構柔らかいんだなとか思ったりとかしてただけだし別に他意はないというか」
「たわけ! 王の褥に居る間我以外に気を遣る不敬があるか! ──我の肉体が完璧であるのは当然であろう。貴様は我のことのみを思い、我のみを賛美しておけ」
本気で彼は怒っているらしかったが、最後の二言の声色が少しだけ柔らかく聴こえた気がして思わず笑みが零れる。憮然とした──というか、軽く拗ねた顔をして、彼は真紅のリボンタイの結び目を手際よく解いた。これ、彼流の嫉妬ってやつかな。なんて戯言をぼうっと考えている時でさえ、衣擦れの音がいつにもましてうるさく聴こえる。これから彼にからだを暴かれる。改めて認識すると、冗談じゃなく本当に全身から汗が吹き出しそうなぐらい緊張が走る。胸の上で手をきゅっと組んでいると、彼にそれを解かされた。鼓動がうるさい。されることはわかっているのに、恥ずかしさと不安と──期待で、苦しい。
すぐにセーラー服の下に手を入れられて、下着の上から胸の形をなぞられた。思わずまた肩が震えると、彼は獲物を捕らえた肉食動物のように酷薄に笑った。
……これは、よくないかも。自分で自分の胸を触ることも、誰かから触られることもなかったものだから知らなかった。胸を触られるとこんなにもくすぐったくて、ぞわぞわするものなのか。いつの間にか自分の呼吸の音がうるさい。今更だけれどパッションリップには本当に申し訳ないことをした。ギルガメッシュに感づかれないよう、心の中で謝っておく。
すると、セーラー服がギルガメッシュの手によって徐にたくし上げられて、隠れていた胸がランプの明かりに照らされた。シンプルな白の下着が申し訳程度に──いや。更に今更な話だけれど、この部屋結構明るい……! チェストの上の間接照明しか点いていないけれど、これじゃあ丸見えだ! たまらなくなって彼の名前を呼ぶ。
「ギ、ギル……!」
「何だ、怖気づいたか。わかってはいたが実に色気のない下着、そして慎ましやかな乳房よ。ま、その手に収まる程度の乳だけは俺好みと褒めてつかわそう」
「……。そうじゃなくて。明かり、消して」
「今更何を言う」
「恥ずかしいんだもん……」
「消したところで我の眼は誤魔化せぬぞ」
「……ソウカモシレマセンケド」
──まあ、半ば予想してはいたが。私の進言は王に聞き入れられなかった。わかっていたけど恥ずかしすぎる。千里眼とかそういう問題じゃない。明るいと自分の痴態を自覚せざるを得ないのが問題なのだ。たまらなくなって眼を瞑る。その瞬間に下着が上へとずらされて、生暖かく湿った感触が左胸の先端に齎される。慌てて瞼を開いて一体何をされているのかと視線を下に向けると、ギルガメッシュが──私の乳首を舐めていた。
「ちょ、ギル……」
反駁するような言葉は何とか紡げたものの、くすぐったくて下半身を刺激する感覚に、声を漏らさないでいるだけで精一杯だ。乳首だけでなく肉のたわんだ肌も舐められて、吸われて、痕がつく。「象牙の肌を味わうのも悪くない」という彼の呟きが途轍もなく淫靡に聴こえた。
「ん……っ」
指でも細動を加えられながら弄ばれると、甲高い声が漏れた。──ちょっと、何でこんな変な声が出てしまうかな私! 自分で自分の頭を叩きたくなるが、彼の舌遣い指遣いは止まってくれない。熱い。全身が熱い。頬も胸も、……下半身も、全部。
「や、やだ……何か、変……っ」
「そう耐え忍ばずともよいぞ。好きに乱れよ。特に許す」
不意に抱き上げられながら下着のホックに手が回される。……恥ずかしいのに、彼に抱きしめられていることが何だか嬉しい。彼の腕の中に収まっているのが、どうしようもなく心地よい。恥ずかしい、と嬉しい、を交互に感じつつ、彼の思い通りにされたいと願ってしまっている。……私、どうかしてる。
金具が外されて、下着はセーラー服と一緒に脱がされた。これで上半身を隠すものは何もない。あるとすれば自分の腕か伸びた髪ぐらいだけど、隠したところですぐに彼に取り払われてしまうだろう。再び柔く押し倒されると、観念して彼を見上げる。「そのような眼も出来るのだな、淫乱」と愉快げに罵られたが、今の私はそんな、期待した目をしているのだろうか。自分が自分じゃないような気がして怖くなる。
急に頬にキスされる、と思ったら、耳を舐められていた。……嘘だ。と、私は慄く。耳ってこんなに、息を吹きかけられるだけで気持ちがいい、の、か。首をなぞられるのも、同じくらい気持ちがいい。表面を撫でられているだけなのにぶるぶる震えてしまう。──それこそ、彼が宝物庫に貯蔵しているらしい怪し気な薬の一つや二つ使っているのかと思うくらい、彼に何をされてもいやらしい気分になってしまう。首から唇へ、もう一度軽く音を立てられながら口づけられる。
それと同時に、体育座りのように折っていた足を不意にまさぐられた。──舌を絡められているから直接命令されたわけではないけれど、足を開けと言っているのだろうか。急に下半身が熱を持ってひくついていることを自覚して、猛烈に躊躇する。恥ずかしい、こんなところを見せてしまったら今度は何を言われるかわかったものではない……! が、太ももの裏を撫で上げられて思わず力が抜けた隙をつかれて、足の付け根まで彼の手が伸びた。……観念して恐る恐る足を開くと、すかさず彼の指が下半身の割れ目をゆっくりとなぞる。
「ん、ぁっ……や……」
変な声が漏れた瞬間唇が離れて、伸びる唾液の糸も拭わずに彼は一層深紅の双眸を細める。彼ばかり余裕があってずるい。これから酷いことをするぞと高らかに宣言するかのような彼の表情に、屈服したいようなしたくないような、変な気分。彼の指が再びひくついた下へとおりて、下着の中へ押し入る。液体が彼の指にまとわりつく音がして更に鼓動が高鳴った。そして、割れ目をもう一度軽くなぞったあと、その上の突起を刺激する。
「ぁ、そこ、やだぁ!」
急に、快感の波がその一点に集中して、一層高い声をあげて私はのけぞった。何、なにこれ、何なの。下半身全体がふるふると……気持ちよくなりたいと叫んでいるのはわかっていた。だけどこの突起は一体何。こんなの、気持ちよくなる為だけにあるような場所、じゃないか。
「処女は中よりこの蕾への愛撫をせがむ者が多くてな。貴様もその例に漏れず、か」
「こんな場所……しらなかった……」
無意識の内に彼に相槌を打つと、自分の性知識の無さを笑われる。いやだって──男女が寝床を共にする意味は知っていたけど実践したのは今が初めてなのだから、そこは仕方がないと思う。
割れ目の中をまさぐられつつ、突起に刺激が加えられる快感に堪える。やめて、と拒みたい気持ちともっと、と叫びたい気持ちがぶつかり合って、ただ声を抑えながら足をがくがく震わせる。震えているその足を掴まれたかと思うと、そこも舐め上げられて強く口づけられた。
「ちょ、そこ、みんなに見えちゃ──ぁ」
「我に抱かれた証だ。貴様だけでなく全ての者に知らしめればよい」
何言ってるんだこのサーヴァント! と普段の自分なら突っ込めたのだろうけど、もう頭がくらくらして何もわからない。
「な、あぁ、ぅ! 何か、やば、んっ」
「何、もう果てるか。よいぞ、好きにしろ」
包んだり引っ張ったり、強く刺激されている部分の奥から快感の奔流が押し寄せてきた。これが達しかけている、ということなのだろうか。ここまでくるともう、恥ずかしいさよりその渦に何もかも託してひたすら気持ちよくなりたい気がしてくる。微かに残った理性の壁が決壊しかけている。だめ、と首を振る自分の心の声が遠い。
「あ、ぎ、ギル……っ!」
たまらなくなって名前を呼んだ、その瞬間、その波が私の下半身を包んだ。一瞬、ほんの一瞬だけ意識がホワイトアウトするような感覚があって、私は目を見開く。そこには変わらず満足げでありながら、血の気がいつにもまして多く見える彼の整った顔があった。
「ぁ……わ、私いま」
「淫らに腰を振りおって。次は我に譲れよ」
これが──果てる、達するという感覚。ひどく多幸感に満ち満ちて、気持ちいい。初めて味わった快楽に文字通り全身を支配されている。きっと頬はこれ以上ない程に火照っているだろう。……浅ましい。そう羞恥を覚えつつも、私はもっとこの感覚を味わいたい、と心の底で期待していた。
ギルガメッシュがスカートのホックにも手をかける。最後の倫理の砦だったスカートが、下着と同時に引きずり下ろされようとしている。──これをはぎ取れば、もう体を隠すものは何もない。
「う……全部脱がすの」
「ほほう、ではこのまま脱がさず行うか?」
「……意地悪……」
ばつが悪い。今更恥ずかしがったって意味はない。決死の思いで彼が脱がせやすいように少しだけ腰を浮かせると、それを支えつつ彼はスカートと下着の束縛を解いた。足先で最後の衣擦れを聴く。これで、私は──それこそサクラ迷宮の中の衛士たちのように──無防備なはだかになった。余分なものを纏っていない分、肌からの発熱が体全体を覆いつくしている気がする。視界も何とはなしに潤んでいるような。
「──衣服を取り去ってみればなんとまあ、貧しい体つきであることよ。あのような麻婆豆腐なぞ食べるからこうなるのだ」
──それは果てしなく関係がないと思う。ていうか、麻婆豆腐にしろ何にせよ食べたら体はふくよかになる筈だし。
普段なら九分九厘の確率でそんな風にツッコミを入れていただろう。だけど初めて果てたあとの倦怠感と、体を隅々まで視姦されている事実がただただ羞恥心を煽っていて、余計な言葉を紡ぐ気になれない。服を着ているか着ていないかの違いは、考えていたより大きいのかも知れない。
……というか、私は脱いで彼だけ脱がないだなんてずるい。エリザベートのSGを暴く時はあんなにノリノリで全裸になっていた癖に。
「……ギルもはやく、服脱いで」
「無論。では万感の思いを込め讃えるがよい! AUOキャストオ──」
「それだけはやめて」
「ふん、冗談に決まっておろう」
ギルガメッシュにとって、私のこの反応は予想通りのものだったようだ。何事もなかったかのように、彼は着ていた白いカットソーを徐にたくしあげる。……綺麗な体だ。筋肉は彫刻みたいについているし、紅い刺青はいつ見ても美しいなと思う。もちろん顔立ちだって驚く程精緻だ。目を凝らさずともわかる。
そのままじっと眺めていると彼がラフなパンツの金具を外し始たので、反射的に視線をずらす。
「何だ。今からこれで貴様を突くのだぞ? その目で確かめぬまま貫かれて咽び泣きたいか?」
「う……」
その言い方は、怖いしずるい。意地悪な声につられて、抵抗感は拭えないものの私は彼の天を仰ぐ剥き出しのそれを直視する。初めて見る──エリザベートの時は、何故か光っていてよく見えなかった──男のひとの茎。知識はあっても実物は初めてなので、何だか心がざわつく。こんな大きなものが、本当に私の中に入れるんだろうか。先程得た快感のリフレインよりも、不安の渦の音の方が大きく響く。明らかに不安げに顔が曇った私を横目に、彼は「休む暇は与えぬぞ」とばかりに再び裂け目を指でなぞった。
「っい、入れちゃうの」
「解かねば入らぬではないか」
そして今度は、割れ目の中にある小さな穴へと指が押し入る。入口がちょっと痛んだ。けれど、これぐらいならまだ我慢できる。
中からとろとろ粘ついた蜜のような液体が流れている。彼の立てる音がうるさくて聴くに堪えない。そう時間の経たない内に二本目の指が入ってきて内側をぐっと押し込むように刺激されると、さっきの手放しの快感とは別の、痛みと快楽が入り交ざるおかしな感覚に下半身が支配された。
「ぃ、ぁあっ、ぅ……」
「痛いか?」
「ん……だいじょぶ……ぁ、そこ」
「何だ。もう中での法悦を覚えたのか。存外才能があるではないか」
「褒められてるのか貶されてるのか、んっ、わかんないんですけど……」
「ふん、さてな。……この程度なら頃合いか。疾く脚を開け」
三本目の指を挿れられて暫くした頃、彼はそう言ってゆっくりと指を引き抜いた。──遂に、彼の芯が私に収まるようだ。犬のように息を漏らしながら言われるがまま脚を広く開く。
私、今すごくいやらしい格好をしている。普段人には絶対に見せない部分をぐちゃぐちゃにひくつかせて。いつの間にか羞恥心は快楽に塗りつぶされていた。彼の指が抜かれたあと、ひくつく内側が物足りないと叫んでいる。──彼が欲しいのだと、しきりに喚いている。
「物欲しげに見つめおって」
「──」
「そら。何が欲しい?」
ギルガメッシュは普段よりもずっと甘やかな声で、私の耳元に囁いた。その微かな吐息すら刺激に変換されていくのを感じながら、私は縋りつくように彼の背中に手を回す。
「ギルがほしい……」
力の入らないまま消え入るような声で呟くと、ギルガメッシュは満足そうに咽喉を鳴らした。
「強欲め」
そうして、彼の臀部が私に宛てがわれる。
……痛い。先程までの快感が全部嘘だったのかと思う程痛い。まだ入口にちょっと入っただけだろうに。彼のものが大きすぎて入らない。痛い。
「……白野。力みすぎだ、これでは半分も入らぬ」
「んっあ……ぁ──……!」
ギルガメッシュに突起を再びなぞられて、腰が跳ねかけた。そうして力が抜けた隙に、彼の芯が私の中へと一気に埋まった。今度は力が入らないようにせめて深呼吸を繰り返す。ギルガメッシュも、私が締め付けすぎなのか少しばかり苦しげに呼吸している。
「痛いか」
「うん……」
「そうだろうとも。……無論、今更やめてはやらぬがな」
そう言って彼は私の腰を掴む手に力を入れて、私の内壁へぐっと茎を押しつける。……本当に、このサーヴァントは素直でない。言うこと為すことどちらも恐ろしいのに、その声色はたまらなく情に溢れているなんてずるい。そんな風に言われたら、どんな顔をしていいかわからない。
「……私だって、ここまで来たらさいご、まで抱いて、もらうつもり、だもん……っ」
──そして、何とか全て収まった。貫いた。貫かれた。彼のものが収まった内側は痛くてしょうがない。初めてだから当然かも知れないけれど、反射的に涙が滲んだ。
けれどとても熱い。ギルガメッシュの熱が、私の熱が溶け合っている。魔力のパスが繋がっているのすら感じる。その熱の中にくるまれた、快楽の芽のようなものがあることも。不思議だ。彼が私のサーヴァントだからだろうか。
「……動くぞ」
「──っ」
そして徐に彼の芯が、私の内部から抜き取られそうになった──ところを、思い切り突かれた。
「……っ、……ぁ、んんっ」
「は、なかなか、締まりが良いではないか……っ」
初めはゆっくりと、だけど段々ペースを早めながら、私は何度も彼に貫かれていく。ギルガメッシュの声も少し上ずっていて、彼が私の体に興奮を覚えていることに思わず歓喜が沸き立った。自分の体を性的な目で見られるなんて、どう考えても忌避したい状況だ。けれど、普段であれば懐く筈の嫌悪感が今は蒸発している。寧ろ、そんな目で彼に見られていることが嬉しいと感じてしまっている。体を重ね合っていれば、これは誰しもが抱く心境なのだろうか? 声を漏らしながら必死に息を継いで、ふわふわとした頭で考える。
……ああ、だめ。彼に全部身を任せると決めたけれど、ちょっと、本当にこのままされるがままだと、おかしくなりそうだ。相変わらずまぐわっているところは痛い。なのに、そう遠くない内にこの痛みが快楽に変わる予感がある。気持ちいいところを彼の芯が掠めているから。それは、先程の手放しの快感よりも少し怖い。
「ん、ん、む……っう、」
「──おい。今更唇など噛むのはよせ」
彼に唇を解かれ口づけられて漸く、自分が無意識に唇を噛んでいたことに気がついた。思いがけなく柔らかでふわりと溶け合う感触が溜まらなくなって、不覚にも唾液が漏れるとそれを彼が舐めとってくれる。
「ごめ……なんか、怖くて」
「怖いだと?」
「気持ちよくなるの、怖い……」
……私と彼の視線が交錯する。普段の様子からは考えられない、少しだけ余裕のなさそうな彼は腰の律動を和らげて私の額を撫でた。
「先刻既に気を遣った癖にか」
「さっきのとは何か、違って……これ以上は……へんになっちゃう……」
自分の気持ちをうまく言語化できないままギルガメッシュを見上げると、彼は「何だ」と意地悪そうに──なのに随分と親愛の籠った眼差しで、私を射抜いた。
「それが貴様の知るべき人間の快楽だ」
「え……」
「いつもの貪欲さはどうした。……そら、声など我慢するな。貴様はただ思うまま欲すればよい」
彼はそう言って、抜けかけていた芯を再びぐっと中へ沈める。内壁に圧がかかって、彼の先端が私の一番気持ちのよいところを力強く擦った。
「あ、ぁあっん……!」
──その時、何も我慢のない明け透けな声が漏れ出た。
そうでなくてはと言いたげに口角を吊り上げたギルガメッシュは、腰を落として私の弱いところばかりを執拗に突き上げる。あ、もう、だめだこれ。最後の壁が崩された。だめだ。もう私は、岸波白野は、彼の熱の籠った芯をひたすらに欲しがる獣に成り下がってしまった。
両腕を彼の背中へ回してしがみつく。体が先程よりもずっと熱い。私の熱と彼の熱が溶け合って、更なる熱が生まれていく。それがこんなにも嬉しくて、気持ちいい。
「あぁ、んっ、! は……うぅっ、そこっ」
「はっ、……ここであろう?」
「ぁ、……っ! うん……そこ」
入口は相変わらず痛いが、それもどうでもよくなってくるぐらい気持ちよくて幸せだ。……うん、私は今この上ない幸せ者だ。自分を認めてくれた人の胸の中に懐かれて、生まれて初めての快楽を知って、それでいいと彼が笑っている。その現実がどうしようもなく嬉しくて、気持ちよくて、今自分が何を考えているのかもわからなくなる。わからないけれど彼に、彼に早く伝えないと。自分の今のこの気持ち、はやく言わないと、達したら全部忘れちゃいそうだ。
腕をゆるめて、ギルガメッシュの顔がしっかりと見えるように頬を両手で包む。不敬だと怒られるのかな、と不安になったが、彼は一瞬目を瞠っただけでそのまま腰を動かしている。
これが彼に対する恋慕の情なのか、それとも共に闘い培った絆の力なのか、まだ私にはわからないけれど。今はただ彼のことが、本当に愛おしい。
「ギル」
「……なんだ」
「すき、すきだよ、すき」
半ば自棄になって、私は叫んだ。
「ぅ、うれし、あっ、私、しあわせ……」
「──」
「ギルとあえて、よかっ、──ぁあっ」
彼はまだ果てまいとしているのか、私の突然の告白に困惑しているのか、何とも言えない顔で唇を引き結んでいる。……どちらにせよ、岸波白野も偉くなったものだ。あのギルガメッシュをこんな風に黙らせる、なんて。
彼は気まぐれとはいえ私の召喚に応じ、傍観者として──彼の心で再会してからは、最高のパートナーとして──私についてきてくれた。なら、やっぱり私は彼にこう言いたい。そして、言わなければならないと思う。
「ギル。ありが、と」
彼の鼓動が、律動が更に激しさを増した。
「あ、ぁあ、──!」
「──白野」
彼の快感に掠れた声を聴きながら、私は果てた。どうしようもなくなってきゅうきゅうと中を締め上げると、それに伴って、彼は一際悩ましげに息をつきながらあたたかな精を中へ吐き出す。おなかの中が、熱を持った多幸感で満たされていく。これでは私が彼を食べているみたいだ。
呆然と虚空を眺めていると、彼もまた少し微睡んだような目で私を見下ろしている。二人とも互いの体液でびしょ濡れだ。──名残惜しげに、彼が私の中から果てた芯を抜く。
「……白野」
再び名を呼ばれて、殆ど触れるだけの口づけを交わす。ギルガメッシュは隣に体を横たえて、私を抱き寄せる。顔が胸に埋まったおかげで表情は見えないけれど、背中にまわされた手が大きいことを急に意識してほっとした。「ギル」と用もないのにそう彼の名を呼ぶと、彼の大きな手が私の背をゆっくりとなぞった。
彼はその夜中、私が暫くして眠りに落ちるまでずっと言葉を口にしなかった。私も私で何を言えばいいのかわからなかったから、黙って身を預けていた。彼の鼓動の音がどうしようもなくあたたかい。今まで意識したことのなかった彼のにおいも、心地よく私を包んでくれた。
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